代表から一言

香りは、目に見えない。
けれど、人の心と暮らしを深く支えるものだと、私は信じています。


日本香雅文化協会のウェブサイトをご覧いただき、誠にありがとうございます。代表を務めております、川端と申します。

私が香りに強く惹かれるようになったのは、
単なる趣味や興味だけではなく、
自分自身や家族の暮らしの中で重ねてきた経験があるからです。

私は幼少期~思春期まで重度の小児喘息を患っており、発作が出た時には横になると呼吸困難に陥り、そのまま息を引き取ってしまう事になる為、普通に布団で寝る!というあたりまえの生活ができず、椅子で寝るという子供時代を過ごしていました。

当時、小児科の先生が薬と一緒に漢方も処方してくれたのですが、子供にはこの漢方の独特な香りがすごく苦手で、いつも飲むのをためらっていた記憶が今でも鮮明に残っています。

しかし、飲み続けると次第に、
「この独特の香りが体に良い香り」
と勝手に認識するようになり、
変な香りなのに体に良いってどういう事?
という疑問を持つようになりました。

大学に入学し、香りとしての疑問をアロマテラピーという
ロジカル的な目線から香りと心の関係を知り、香りの奥深さに感動。学習と体験を繰り返し、香りってこんなにすごいんだ!というのをもっといろんな人に知って欲しいと心に誓い、当時インターネットで
「アロマ健康相談室」
というウェブサイトも立ち上げて頑張っていた時代もありました。

社会人となり、IT/サイバーセキュリティ業界で昼も夜もない世界に飛び込んでしまったがために、ウェブサイトの運営もできずやむなく閉鎖。

社会人4年目に結婚し、子供も2人生まれたのですが、どうしてか2人ともに小児喘息ということが判明。
発作が出た時の苦しさはわかっていたので、
何とかその苦しみを和らげたい!
との思いから、香りで緩和できるかを子供たちと一緒に実験のように調香したら、子供たちから
お父さん、香りって楽しいし香りもいいし、
 この香りの中で眠るとすごく安心する!
という言葉をもらったとき、うれしさで思わず涙が出てしまいました。

この時、この感動体験を課題を持った家族や個人の改善ツールの一つ
として、世に広めたいと心に誓ったのです。

私は、自身の喘息と、自分だけではなく、子どもの喘息にも向き合う中で、
空気」や「香り」が、ただそこに漂うものではなく、
人の体調や気持ち、安心感に深く関わるものなのだと、
あらためて強く実感するようになりました。

息をすることは、生きることそのものです。
けれど、当たり前のように思えるその呼吸が、
苦しくなったり、不安を伴ったりする時、
人は空気の質や、場のあり方、
そしてそこに漂うものに、とても敏感になります。

そうした経験の中で私は、
香りとは単なる嗜好ではなく、
人の心と暮らしに寄り添う、とても繊細で大切な存在なのだと感じるようになりました。

強すぎる香りではなく、
ただ静かにそこにあり、
ふっと気持ちをほどき、
少しだけ呼吸を深くしてくれるような香り。
忙しさや不安の中で、
自分を取り戻すきっかけになるような香り。

私は、そういう香りの力を、
人生の中で少しずつ知ってきたのだと思います。

日本には、香りを「嗅ぐ」のではなく、
「聞く」という、静かで美しい文化があります。
それが香道です。

私はこの「聞く」という言葉に、
とても深い意味があると感じています。

香りをただ消費するのではなく、
香りに向き合い、受け取り、自分の感覚を研ぎ澄ませる。
それは、香りを知ること以上に、
自分自身の内側を見つめることでもあります。

現代は、情報も刺激も多く、
私たちの感覚はいつの間にか忙しさに追われています。
だからこそ、
香りを通じて静かに立ち止まる時間、
自分の呼吸や感覚に意識を向ける時間には、
大きな意味があるのではないかと思っています。

私が日本香雅文化協会を立ち上げたのは、
香りをただの商品としてではなく、
文化として、学びとして、未来へつないでいきたいと思ったからです。

香りを文化としてとらえたとき、敷居が高いと感じられることがあります。
けれど本来、文化は、
敬意をもって学ばれ、
人から人へ、暮らしの中へ、
静かに受け渡されていくものではないでしょうか。

私は、伝統を軽く扱いたいのではありません。
むしろ逆です。
大切だからこそ、
きちんと敬意をもって、
でも今を生きる人にも届く形でひらいていきたいのです。

喘息や呼吸のつらさに向き合った経験、
家族の健康を願う日々、
香りに救われるような瞬間、
そうした私自身の人生の積み重ねが、
この活動の根幹にあります。

香りは、目には見えません。
けれど、目に見えないからこそ、
人の心に深く届くことがあります。

不安な時に少し気持ちを和らげてくれること。
張りつめた心を、そっと緩めてくれること。
懐かしい記憶や、大切な人を思い出させてくれること。
そして、自分の呼吸に静かに戻ってこられること。

私は、そうした香りの力を信じています。

日本香雅文化協会では、
香道を起点とする日本の香文化を、
だれもが入口に立てる形で、
しかし軽くせず、丁寧に伝えていきたいと思っています。

香りを通じて、

  • 感覚を取り戻すこと
  • 静かな時間を持つこと
  • 自分の感じ方を知ること
  • 他者との違いを受け取ること
  • 日本文化の豊かさに触れること

そうした小さな経験の積み重ねが、
日々の暮らしを、そして生き方を、
少しずつ整えていくと信じています。

香りは、派手ではありませんし、派手にする必要もありません。
けれど、静かに人を支える力があります。

私はこれからも、
香りを「商品」としてだけではなく、
文化として、暮らしの知恵として、心に届くものとして、
未来へつないでいきたいと思っています。

もしこの想いに少しでも共感していただけましたら、
ぜひ講座や活動を通じて、香りと向き合う時間をご一緒いただけたら嬉しく思います。

拙い文章にもかかわらず、最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。

今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

日本香雅文化協会
代表 川端 健司